Carpenter's Gothic

Carpenter's Gothic

パブリッシャー
Viking Adult
価格: ¥1,633

Carpenter's Gothicのレビュー

ある意味、とてもスタイリッシュ
ト書きと会話だけからなる小説。物語の舞台はカーペンター・ゴシック様式の館で、そこから一歩も出ることがない。ある意味、とてもスタイリッシュ。古い館、陰謀、謎めいた男女といったモチーフは、映画にするなら、ぜひジャック・リヴェットの演出で。偶然に紛れ込んでしまった芝居小屋で、登場人物たちがいったい何者なのか、興味津々で見入っているうちに、幕まで見てしまったような、そんな読書時間を味わった。こんな小説の書き方もあるんだと思うと同時に、こんな書き方で読者を飽きさせず(けっこうドライブ感がある)に書くことができる小説家はそうはいないとも思った。『認識』や『JR』など他の著作の翻訳も望まれるところ。
読み手の数だけ解釈のある不思議な小説。
とりあえず、小説の表現の仕方っておもしろいと思った。可能性の問題なのだが、まだまだ模索する余地はあるんじゃないか、形式にとらわれなければもっと新しいことが出来るんじゃないかと思った。
本書はテキストとして機能する不思議な小説だ。普通の小説とは違って、作者の意図する構図を読者が自身で組み立てていかなければならないのだ。登場人物はそれほど多くない。だが、本書の大半を占める会話文が食わせものなのだ。まず、普通の小説のように誰が言ったかという言及がない。まして、その会話自体が言いよどみ、くり返しなどに満ちていて、スムーズにいかない。かてて加えて会話と記述が明確に区分されていなかったり、会話している人たちのいる部屋にあるテレビの内容が紛れ込んだり、ほんと一筋縄ではいかない小説なのだ。最後まで明かされぬ謎も多々あり、これほど読み手の数だけ解釈のある小説もめずらしいのではないかと思う。短い本なのに、久しぶりに疲れました。